【作品解説】

□ title  【前説刑事】  1.LIFE is dramatic  2.LIFE is ordinary  3.LIFE is travel 1  4.LIFE is hard
       5.LIFE is travel 2  6.LIFE is play  7.LIFE is refrain  8.LIFE is hunt  9.LIFE is wonderful
       10.LIFE is gone

 

■LIFE is dramatic
会社の昼休み、買物に出かけた山本さん(鈴木)。アンケート調査をしていた人物(寺元)に声を掛けられ、平凡で退屈な日常生活を送っていることを指摘される。
そしてそのアンケート調査員とバーガーショップの店員達(武田・松本・川原)によって、昼ごはんを買うという平凡な日常生活をドラマチックに演出される羽目になるのだが…。

紙吹雪を一度降らせてみたかったんです。全然いいシーンじゃない場面で無駄に。
どうせやるなら1本目、冒頭から降らせたほうが皆びっくりするのでは?と思って。
あとは芝居っぽいことを、意味なく踊ったり無駄に叫んだり、そういうことをやってみたかったんです。そう、ドラマチックな感じで。
この演目、最初はもっと違うコンセプトがあったんですけども、ちょっとブラックが過ぎるんじゃないかとメンバーに批判されたんで止めました。
個人的にはとても残念です。団体としてもうちょっと毒持っててもいんじゃないの?と思うんですけどもね。
なのでこれは書き直しバージョンで。本意じゃない書き直しにも対応できる自分は大人になったということで。
氣志團のダンス、ばらばらでしたね。解っております。もう揃えることを諦めました。
ま、「マックの従業員が一生懸命踊っている」という理由を後付けしたので良いのです。何年か前だったら必死に合わせようとしていた筈。
そういう後付け的言い訳で自分を許せるのもまた大人ということかと思って。

 
■LIFE is ordinary
様々な品物や紙切れが散乱したとあるマンションの一室。
仕事の忙しさにかまけて片付けをしない部屋の主(武田)に腹を立てる、神経質な友人(松本)と、マイペースな友人達(寺元・川原)そしてその紙切れのなかに、山本さん(鈴木)がアンケート調査員に「とてもいいもの」と念を押されて貰ったメモが混じっていたのだが…。

舞台上に紙吹雪が散乱してるので、どうせなら演目のなかで自然に片付けましょうと。基本的にはそれだけの為に作った演目でした。
台本を書き始めた当初は演目をリンクさせようとは考えていなかったので、単に部屋を片付けるだけの設定だったんですが、1本目及びラストとリンクさせることでそれなりに意味を持った演目になった気もします。
1本目がちょっと現実離れした設定だったので、これはごくごく普通に日常的に。
何でも貰いたがる川原のキャラとか、なんかゆるい寺元のキャラとか、個人的には結構好きなんですけども。この2人のキャラでもっと遊べるエピソードもあったんですが、時間的に詰める必要があったんで止めました。少々残念です。
劇中に出て来た小道具はほとんどが武田の私物。第1回公演の時に使ったヌンチャクとか、今回の映像で使った拳銃や手錠なんかが実際に部屋にあるのはちょっと困ります。現実の私の部屋にもそのような無駄なものが多く、本当に片付いておりません。

   
■LIFE is travel 1
空港の検査ゲートを通過しようとする搭乗者(松本)。チャイムが鳴り、無愛想な検査員(武田・鈴木)に呼び止められる。
意図のよくわからない検査を強引に押し進める検査員に、怒り心頭の搭乗者。
何とかゲートを通過するべく、搭乗者と検査員の小競り合いが勃発するのだが…。

第2回公演『construction』より再演した演目。当時の搭乗者は鈴木で、検査員は大村と寺元でした。
台本を書かなくてもいい再演を何本か加えることで「ちょっと楽できる!」と思って、今回の公演では再演の演目を何本か加えることに。
したんですが、年月を経たせいか、実際やってみると演目自体の雰囲気が変わり、セリフは初演時とほとんど変わらないものの今の雰囲気に合わせた演出をつける必要が出てきた上に、キャストも変更したものの、役者は初演時の演技が頭をよぎって混乱したりして、結局再演の演出には新作の演目以上に時間がかかる結果に…。
そしてこれは会話のと会話の間が多く、ともすれば淡々と進行してしまうので、本番直前まで「空気感」という正体の見えづらいものの調整を余儀無くされました。
そして本番でもお客さんの反応によってまた微調整しつつ。
今回の公演で一番苦労した演目だった気がします。

   
■LIFE is hard
風邪をひいて会社を休んでいる人物(武田)を見舞うため、おせっかいな同僚(川原)が「風邪にいいから」と長ネギを1本だけ持って現れる。
何かと世話をやきたがる同僚が正直鬱陶しかったので、取りあえず買物に行かせたものの、友人やら大家やらが次々とネギを持ってやって来る。

風邪ひいて寝てる時にみんながみんなネギ持ってきたら面白いかと思って。ほんとただそれだけなんですけど。
大体のネタはそんな感じでざっくり決めます。それをどう展開させるかという構成の方に知恵を使うんですけども。
終わり間際にバタバタと人々がやってくるまでは、ほとんどが武田と川原の2人だけの演目。
稽古あんまりしてないですね…。少人数で出演する部分(ordinaryの冒頭の武田・松本等)は、稽古でも後に回されがちで、なんだかさほど時間が取れなかった気がします。
公演楽日では南風が背中に隠し持っている筈だったネギが、冒頭でべちゃっと床に落下し(恐らく、日数が経ってネギがくたくたになっていたせいだと思われる)、取りあえずアドリブで回避する事態に…。
カプセルの公演では原則的にアドリブはないんですが、ハプニングにはアドリブで対処せざるを得ず。そういう時には普段の会話の感じが出て、メンバー同士が仲良くて良かったなぁ〜としみじみ。
楽日だったせいかほどよくリラックスできてたので、自分達もちょっとそのハプニングを楽しんだりしておりましたが。

   
■LIFE is travel 2
空港の検査ゲートを通過しようとする搭乗者(松本)。チャイムが鳴り、やたらと愛想の良い検査員(寺元・川原)に呼び止められる。
検査員によると、通過できない原因はどうやら搭乗者本人の“飛行機に乗りたい”という意志が弱いことにあるらしい。
そしてゲートを通り抜けるために、3人力を合わせて様々な方法を試してみるのだが…。

これも第2回公演からの再演。当時の搭乗者は武田で、検査員は松本・川原。
初演時は役者のキャラに合わせた台本だったもので、再演ではあるものの、今回は大幅に台本を修正。
冒頭以外はほとんど同じセリフがありません。シチュエーションのみ流用という感じに。
個人的には、川原の「(やる気出さないと)乗せないよって言ってます。機長が。」ってセリフが今回の公演で一番のお気に入りなんですが、お客さんは思いの他笑わないんですね…。
かと思えば「えっ、そこで笑うの?」ということも多かったり…。お客さんとのツボの違いの謎、今だ解明せずです。
稽古では「ゲートを遠慮がちに通り抜ける」という場面の、テンポの速い会話のやりとりを何度も練習していた松本寺元川原チーム。
「セリフわかんなくなったら取りあえず“どうぞどうぞ”って言ってればいいよねっ!」って言いながら。
あの、一応考えて書いてるので、できればちゃんとやって欲しいんですけども…。

   
■LIFE is play
とある休日の穏やかな公園。子供達の歓声が響き、草野球をする人々の姿も。
しかし、そこには本気になって缶蹴りをする、いい大人達の姿があった。
ジャンケンで負けてオニとなった松本が、姑息な手を使いつつ皆を追い込む。
茂みの中から虎視眈々と缶を狙う武田。数々の罠をかけ、他の者を陥れようとうする大村。その罠にまんまと引っかかる川原・鈴木。そして迷彩服に着替えた寺元の姿を確認した者は誰も居らず…。
そんな遊びに本気な人達の、ショートムービー。

今までの公演でも、間にちょこちょこ映像を使ってはいたんですが、前回公演から2年も空きまして、その間に何かしようかということになりまして、ちょっと映像作品なんてのも撮ってみては?と思って、最初に撮ったのがこれです。
この映像の撮影当時は絵コンテを描くというアタマがあまりなく、半分ぐらいは撮影しながらその場の思い付きで撮ってました。寺元さん編集大変だったろうに…。
そう考えると去年の秋ぐらいから公演直前まで撮ってた前説映像は進化しております。絵コンテきっちりあるし、ロケハンなんかも結構しっかりやったし。今になって顧みると多分、この缶蹴りの映像は無駄な撮り方たくさんしてたんだろうと思います。
ロケ場所は市内某所の公園。撮影は実質、丸二日間ぐらい。今撮ったら多分もっと早いんでしょうが。
撮影当日、出演者+スタッフでそれなりの人数になったCAPSULEロケ隊は、あからさまに休日の公園の様子から浮いていたようで、通りすがりの人にガン見されたり、話し掛けられたりしてました。
ちょっと目を離した隙に、並べておいた缶を通りすがりのおじさんに片付けられてしまったり(よかれと思ってやってくれたらしい)、鈴木が走ると散歩をしていた犬が猛烈に吠えたりと、ロケならではのハプニングも。
真上からのアングルは三脚をいっぱいいっぱいに伸ばしたカメラを持った下家が脚立の上に立って撮影したり、クレーンなど当然ないのでカメラマンが荷物用の台車に乗って台車を押してもらい、走る人物を追ったり…と、資金不足からくる創意工夫も満載な撮影でした。
自分としてはもっとスピード感に溢れた映像を想像して企画したのですが、どーもうちがやるとコミカルさが全面に出てしまうようで、最初の目論みとは違う方向に…。まぁ、いいんですけども…。

   
■LIFE is refrain
とあるバーにて。初めて来店した女性客(松本)とバーテンダー(武田)の会話。
とある美容室にて。初めて来店した女性客(松本)と破天荒な美容師(寺元)の会話。
女性客が話す言葉はどちらも全く同じ。違うシチュエーションによって全く異なった意味を持つ演目。

これは第1回公演『Placebo』からの再演。当時の女性客は武田、バーテンダーは大村、美容師は松本でした。
台本もほとんど変えておりません。美容師の動きは寺元のキャラに合わせてそれなりに変えましたが、あとはほとんど当時のままで。
この演目で独白セリフの多かった松本は、ナレーションを得意とする寺元を強制的に指導役に任命し、「寺元ちょっと喋ってみなさいよ!」というおおよそ教えてもらう立場とは思えぬ態度で練習をしておりました。
そして美容師役の寺元はそこはかとなく気持ち悪く(褒め言葉です)、一時は「鉄板少女アヤノ」というあだ名をつけられたり。
そして武田のバーテンのマイムは、時間がなくほとんど練習できずにほぼ本番ぶっつけで。
全体的に練習不足だった演目。そこそこマイムと強烈キャラで何とか押し通した感じか…。
こういう演目こそじっくり創らねばならんのですけどね…。反省です。

   
■LIFE is hunt
某レッスンスタジオ。「モテたい女性の為のライフアップ・レッスン」という看板を掲げた教室にて。
興味本位でおためしレッスンに訪れた渡辺さん(鈴木)。インストラクターのマダム白金(寺元)と、マダムに心酔する生徒達(松本・川原)に疑問を感じつつも、取りあえずレッスンに参加するのだったが…。

女性誌なんかをめくると、世の人々はこんなにもモテることで頭がいっぱいなのかと思って驚愕するんですが。
「モテ」とは一体何だろうと、自分なりに分析してみようとしたのですが、雑誌などにはやはり髪型やら服装やら外見的なことが多く、そういった外見を装飾するのではなく、しぐさや表情なんかを磨いてモテよう!みたいなスクールなんかがあったら面白いんじゃないかと。そう思って書きました。
マダム役は結構迷ったんですが、他の役者でもまた違った感じでいけたんですが、寺元さんに任せて正解だったかと。今まで男前キャラが多かったので。
ここは、あえて。
個人個人の「“モテる”ハンカチの拾い方」の動きなんかは、役者にほぼお任せってことで、修正ぐらいしかしてません。うちの役者達は自分でどんどん考えてくれるので、演出としては有り難い限りです。
CAPSULEではこういう女子女子した演目は今までなかったんで、観た方々から色々言われるかと思ったんですが、誰も気づいてくれないですね…。
地味に初めてなんですよ。女子であることを前面に使った演目って。
自分の中では結構な変化だったのですけども…。まぁ、いいんですけれども…。

   
■LIFE is wonderful
彼等は、メガネ軍隊。
メガネ軍隊では、眼鏡を愛し、眼鏡を敬い、眼鏡である人間を庇護する為、日々厳しい訓練に励んでいる。

今から数年前のこと。久々の休暇の後、軍の宿舎に戻った隊員達(寺元・川原・松本・鈴木)は、何故か一様に浮かない顔。皆それぞれ世間の眼鏡に対する評価に辟易し、メガネ軍としての活動に疑問を抱き始めていた。
そんな彼等に大佐(武田)は自らの想い出を話して聞かせる。
そして現在、ニッポンで眼鏡ブームが起こっているという情報を得た彼等は、一路日本を目指して旅立つのであった…。

CAPSULEの初舞台だった、2002年の第1回爆笑BLOCHでの「メガネ軍隊エピソード1」【ダニエル(川原)入隊】に始まり、
第1回公演「メガネ軍隊」【マクガイバー(寺元)コンタクト着用で裏切り】
第2回公演「続」【エリオット(大村)ダテ眼鏡使用で投獄】
第3回公演「さよなら」【視力回復の為、全員卒業】
と、気づけばもう5作目になったメガネ軍隊。
今回の公演で復活させるつもりはなかったんですが、メンバーや周りの人達から「メガネをやれよ!」という意見が多く、半ば仕方なく演目に加えたのにも関わらず、結果的に公演のラストまで引っ張ることに…。
ここまで続くともう正直ネタがなく、じゃあ過去に戻りましょうってことで上官(今回やっと名前と役職がつきました)の少年時代のエピソードを交えてみました。
ママン(松本)と、悪ガキ達(寺元・川原・鈴木)も登場し、古き良きアメリカ風。もうベタベタな展開なんで、この部分は書くのも演じるのも楽しゅうございましたが。
しかし実際稽古してみると、我らにとっても実に第3回公演以来(4年以上前)だったメガネ軍隊。
どうも皆当時のキャラが掴めず、上官(武田)は当時の声がなかなか出ない、マクガイバー(寺元)はちょっと気を抜くと素に戻る、ダニエル(川原)はもっと泣きキャラじゃなかったっけ?、ミヤギ(鈴木)ってそもそもどんなキャラだった? 等、様々な問題が勃発。
でも一度メガネ軍隊の信念(「メガネは顔の一部であります〜」ってやつ)を復唱してから役に入ると、意外とあっさりキャラが掴めることも発覚。なんか不思議な感じでした。身体の奥底に染みついているのだろうか…。

   
■LIFE is gone
以前、日常をドラマチックに演出された山本さん(鈴木)。アンケート調査員に貰ったメモにより紆余曲折、今度は自分が仕掛ける立場のアンケート調査員に。
そこへやってきたのは、来日したメガネ軍隊のワイルダー大佐(武田)。うまく丸め込んでことを進めようとする山本さんだったが、視力が悪いことを指摘され、逆にメガネ軍隊に巻き込まれる羽目に…。

今回の公演のラストの演目、つまり公演全体の終わり方が自分的にどうもなかなか決まりませんで。
上記の理由でメガネ軍隊をやることになり、メガネやるならラス前ですかな。じゃあそのままラストまで引っ張る? どうせならオープニングとリンクさせる? もう永遠にループ、みたいな?
てな感じでまぁこのような形になりまして。
自分で言うのも何ですが、2年振りの公演なのに随分あっけらかんと終りましたなぁー。
きちんと終らない終わり、っていうか、終らせない終りっていうか。
そもそも公演タイトルを「LIFE」にしたのは、この演目タイトルの「Life is gone.(そして人生は続く)」って言葉がかっこいいと思ったからで。
いいことも悪いことも、どんなことがあろうと生きてる限り、人生は続いていく。
そういう潔さとか、先があることの安堵と不安とか、終らない怖さとか、全部ひっくるめてかっっこいい言葉だなと。
なのでラスト演目のタイトルは最初からこれと決めてたんですが。まぁそれなりにうまくハマったんで、まぁ良いんじゃないかと。
台本稽古中、鈴木から「メガネを褒められた後の“ありがとう”ってセリフはどういうふうに言えばいいんですか?」と質問されたので、わかるかなぁ〜と思いつつ、「古き良き(アメリカ)って感じで…」という指示をしたら「わかりました」と即答した鈴木にちょっとびっくり。
う〜ん、理解が早い…。流石だねって。

 

□ 第6回公演を終えて
年月を経るということは、皆それぞれ年齢を重ねるということで。
公演を行うのもなかなか大変になって参りました。
いや、体力的な問題だけでなく、現在の各々の仕事の状況や、社会的責任や、この先の人生設計等を加味しつつ公演を行う、ということが、メンバー皆それぞれ大変になりつつあります。
前回公演の『Dans un cafe.』から、2年近い間隔が空いてしまいましたが、その2年弱のあいだまるっきり活動を休止していた訳ではなく、仕事の都合等で予定が合わない我々が、何とか公演を行うにはどうしたらよいものかと画策していたのですが。
で、無理矢理日程を押し込み、何とかそれに合わせるようにして出来上がったのが、今回の公演です。

2年の間、寺元と川原は他団体への出演などがあったものの、私と松本にとっては舞台に立つこと自体が2年振り、前回公演を休んだ鈴木に至っては実に3年振りとなるという、実際に舞台に立ってちゃんと演技ができるんだろうか? という根本的な不安を抱えたままのリスタートとなりました。
個人的にはまぁ何となく大丈夫なんじゃないかと思ってたんですが、それは気楽に身構えていたというよりも、久し振りと言えどもメンバーはずっと一緒にやってきた人達だし、勝手知ったるBLOCHだし、舞台に立ったら立ったでなんとかなるだろうと、困ったら他のメンバーがなんとかしてくれるだろうと、根拠のない自信と他力本願でそう思ってましたが。
結果、自分としてはまぁなんとかはなりましたけど、やはりそんなに上手くはなかったですねー。ま、それは公演やるたびに思うことなのですけど。
なんかもっと演技だけに集中してやりたいっすね。演出も兼ねてると叶わぬ願いなんでしょうか?

そして久し振りにこの役者達の演出をして思ったことは、まぁみなさん自由だと。
各々バラバラの自由、ではなくて、個々がそれぞれに自由、なので、演出としては方向性さえちゃんと統一すれば大丈夫なんですが。あとは足りないところとか、飛び出てるところとか、混ざりあってないところなどを修正すればいいという、簡単なような難しいような作業なんですが。
自由なんですが、基本的に真面目な人達なので、一度つまずくと戻すまでが結構大変だったりもするんですけども。
流石に何度も公演しているせいか、いつのまにか個人個人ができることのジャンルが増えてきまして、有り難い反面、配役を決めるのは結構苦労しました。演じ手が代わると演目全体の雰囲気がガラッと変わってしまうので、配役はいつも悩むところです。
スタッフのメンバーもそれぞれ生業の方の仕事や他団体への参加などに忙しく、打ち合せもなかなかままならないような状態だったのですが、雰囲気だけ伝えればそれにバシッとハマる物を用意してくれたり、見えないところで着々と事を進めておいてくれたり、全部言わずとも伝わり、度々こっちの予想以上の事をしてくれるという、大変頼もしい人達でして。
本番近くなるとオーバーワークでテンパる私にとっては、とても有り難い存在でございました。

まぁ、そんな感じで、2年振りの公演でしたが何とか形にはなりました。
前回から長い期間を空けてしまったのにもかかわらず、沢山のお客様に足を運んで頂いて感謝するばかりです。
本当にどうもありがとうございました。

2年間という月日、日常の自分の周りの人達がどんどん変わっていくなか、昔と変わらず、未だに舞台なんていう浮かれたことをやっている自分は、進歩がないような、周りから置いてきぼりになったような、そんな虚しさを感じていたんですが、公演を観たお客様のアンケートに「2年振りでしたが、変わってなくって安心しました」と書いて下さった方がいらっしゃって、変わらないことをやり続けるということにも、それなりに何か意味はあるのではないかと、ちょっと救われた気持ちになりました。
公演をやることによって自分達にも返ってくる何かがあるんだったと、2年振りに実感しました。

多分おそらくしばらくは
CAPSULEは基本的には変わらないまま、
欲なく、情熱的でなく、ガツガツはせず、
でもこだわるところには必要以上にこだわって、
ゆるゆると続いていくと思われます。

そんな私達ですが、この先も長い目で、暖かく見守って下さると幸いです。

[作・演出 武田美穂]


 

actor

武田美穂  松本奈緒子  寺元彩乃

川原南風  鈴木祥子


staff

舞台監督 大江芳樹
音響 岩渕民里子
演出補 小川尚子
制作 佐藤さなえ
佐藤琴美
舞台装置 下家弘