【作品解説】

□ title  1. 探知機1  2. 1人と1人。と、もう1人。  3. 穴  4. 500円玉
□ title  5. ふたりはともだち  6. 続・メガネ軍隊  7. この話って何だっけ?   
□ title  8. 探知機2  9. 西区横丁物語  10. grey zone             

 

■探知機1
とある空港。搭乗者が探知機のゲートの間を通る。ブザーが鳴り、係員に検査を受ける。
しかしこの探知機、どうやら金属だけに反応するものではないらしい。

CAPSULE初の2本立てコントの1本。この「探知機1・2」は当初、第2回公演の演目の候補にはなかった作品。
ある日の稽古後ファミレスで「空港の金属探知機にいつも引っ掛かる」というメンバー内での雑談から“じゃあ金属以外の物に反応する探知機があったら面白いかも?”と思い、生まれた演目。数日後には台本となり、メンバーの手元に届けられたのであった。
寺元と大村の無愛想な検査員ぶりが嫌が応にも緊張感をそそる演目。しかし大村は鈴木の脱いだ靴下を持つ事を最後まで本当に嫌がっていた・・・。

   

■1人と1人。と、もう1人。
男の部屋にひとりの女が訪ねてくる。
いつも言動が怪しい男をここぞとばかりに責める女。嘘を並べて逃れようとする男。
そこへもう1人の女がやって来て・・・。

出演は女ばかりのこの集団、どうやら女が男を演じてもわりと普通に見ていられるらしい。だったら男女の三角関係なんかを描いてみてもいいんじゃない?と思い、書いた一本。
そしてこれは「嘘」をテーマにした演目。その場しのぎの無理矢理な「嘘」はつく方もバカなら騙される方もバカで、非常に馬鹿馬鹿しい世界を創りだしている。
しかし嘘つきな男には制裁が下るのだ。最後にはシュールなオチが待っている。

   

■穴
スコップを手に、山奥で穴を掘る兄貴とヤスのチンピラ2人。その場所には“お宝”が埋まっていると終始上機嫌。しかし目を離したスキにその穴に“何か”を埋めようとする女2人が現れる。
兄貴とヤスはその“何か”を死体だと勘違いし・・・。

メンバーの親戚が「車で轢いた鹿を家に持ち帰って喰った」という話を聞いて書いた演目。
何の迷いもなくバカキャラを演じる事ができる武田と鈴木の顔芸が遺憾なく発揮されている1本でもある。
スコップで穴を掘るマイムは“取りあえず掘ってるように見えればいいレベル”の発注を役者側に出したものの、皆それなりに苦労していたようだ。最終的にはキャラで誤魔化していた感のある輩もいるが・・・。

   

■500円玉
道端に落ちている500円玉を見つけたひとりの通行人。
辺りをうかがって拾おうとするものの、次々と人がやって来てなかなか拾う事が出来ない。
そのうちもう1人の通行人が500円玉に気付いて・・・。

これも実話を元にした一作。会社帰りに地下鉄駅のベンチに座っていると、何やら銀色のコインのようなものが落ちてるのが目に入った。
それがコインなのか何なのかその位置からは判断出来ず、隣に座っていたサラリーマンの視線も気になってなかなか近づく事ができなかった経験が・・・。その時の自分の心理状況が面白かったので書いた作品。
鈴木と寺元がメインキャラを演じる事で、いい意味でせせこましく、日本人的なコントになった気がする

   

■ふたりはともだち
宿題や家の手伝いもせず、ダラダラと昼寝しては煙草をふかし、友達をパシリに使う最悪な少年N。
その友達のDはそんな彼を助ける為に未来からやってきたのだったが・・・。

メンバー宅に泊まった日の翌朝、ダルそうに寝そべって煙草を吸う私。「うわっ!ガラ悪いっすね〜」「あぁ、のび太くんのび太くん。」「いねぇよ!そんなのび太はよ!」そんな会話が交された。
・・・あ。こんなのび太がいたら面白いかも? そんな単純な発想からできた作品。基本のラインは15分ぐらいで出来ました。今回の最短記録。 そしてドラえもんを演じるのはCAPSULEのリーサル・ウエポンこと川原南風。彼女の持つ“いいひと風”な雰囲気が悪態キャラののび太(武田)と対比をなす作品。川原の言動が度々ツボに入る武田にとって、この演目の稽古は楽しくも大変苦しいものとなったのでした。

   

■続・メガネ軍隊
メガネ軍隊の訓練施設では、一般の眼鏡の方々を歓迎する公開訓練が行われていた。
しかし突如鳴り響くサイレンの音・・・スクランブル警報の発令だ。訓練を中止し、即座に駆け付けるメガネ軍隊の面々。
彼等の活躍により騒ぎはおさまったものの、軍の中に裏切り者がいる事が発覚し・・・。

お馴染みのメガネ軍隊もこれで3作目。これは第1回公演終了後、2日ぐらいでできました。
第1回爆笑BLOCHから3作全てご覧になっている方は、ダニエル(川原)の成長ぶりやマクガイバー(寺元)の過去の出来事などを反芻して見て戴けたなら更に楽しめるかと。
しかし恐ろしい事に次々と続編が浮かんでしまうこの演目。いつの日か全部並べて「メガネ軍隊ヒストリー」をやりたいものです。



   

■この話って何だっけ?
ただ何かについて話している2人。それだけのコント。

会話のみの演目。時間はCAPSULE至上最短の2分。しかし「500円玉」より台本のページ数としては多い。
これは“どうでもいい事を物凄いスピードで話している人たち
”というものをやりたかった。テンポ良く、煥発入れずに、しかし聞き取れる程度の速度で進行する会話。このサジ加減がなかなか難しく、稽古は役者同士の“いかに噛まずに詰まらないか勝負”のように行われたのであった。
そしてこれは初の日替りによるダブルキャスト。松本×川原、松本×武田の2パターンが存在する。 出演者を変える事により、演目自体の雰囲気が全く違うものとなった。



   

■探知機2
とある空港。「探知機1」と同じシチュエーション。今度は通る人の感情や雰囲気に反応する探知機。
検査員の2人は何とかして搭乗者を通過させようと試行錯誤するのだったが・・・。

“金属ではない物”に反応する「探知機1」と同時に“じゃあ物以外の何かに反応する探知機があったら・・・”という発想でできた作品。
演目の中に漫才を取り入れようとは思ったものの、普段漫才などほとんど見ない脚本担当。漫才の定義がまったくわからない・・・。急遽メンバーの鈴木宅を訪問。相談の上、なんとか書く事ができた。流石はCAPSULEで唯一笑いのDNAを持つ役者・鈴木祥子。
そして実際に役者達に台本を渡してみると、流暢に関西弁を操る川原に全員が驚く。意外な特技を発見。
アンケートなどで好評(?)を戴いた「搭乗者・女らしくゲートを通る」はアドリブによる日替りで「初めてのお泊まり編」「涙の卒業式編」「合鍵編」「初雪編」の4パターンが。
ウチの音響さんから「あれは本当に気持ち悪くて見ていられない」とのクレームを受ける。ある意味、褒め言葉ですが・・・。

   

■西区横丁物語
街角で座り込むヤンキーA・Bの二人。暇を持て余していた彼等の目の前に現れたリンダを名乗るイカした女子にヤンキーAは一目惚れ。二人の目くるめく愛のダンスが展開されるも、そこに現れたのはリンダの兄とその仲間。リンダをめぐるヤンキー達の激しい争いが勃発する。
そのケンカを仲裁したのは西区をシメる番長・大門正一郎。しかし納得のいかないヤンキー達は番長に向かっていくのだったが・・・。

間違いなく今回公演最大のバカコント
事の発端は忘れもしない第1回公演のリハ中、自主的にメガネ軍隊の練習をしていた川原南風を含む3人。椅子がなかったが為にその場にいわゆるウンコ座りをしている南風の姿があまりに面白かったので「こいつを番長に仕立て上げよう!」と思い、作り出したもの。
ほとんどの演目に音楽を使わないCAPSULEだが、あえて「音に踊らされる人達」というのもあってもいいかもと思い、のちに映画「ウエスト・サイド・ストーリー」と融合されてミュージカル風コントとなる。
しかし髪型ですよ、問題は。確かに「遊んでいいよ」とは言った。あぁ言ったさ。
鈴木は前髪に変にカッコ良くウェーブがついてるし、寺元は有り得ない程ベッタリとした鳥肌実風。ベビーフェイスの南風が何故か決まり過ぎなほどのリーゼント。そして大村の尖った前髪にはいつまでたっても慣れる事ができず・・・。頑張って耐えていたんですが最終日はこらえきれませんでした。もうみんな自由にやりすぎ・・・。
そしてリンダを演じた松本のくねり過ぎな腰使い・・・。舞台上のヤンキーA・Bの位置からがベストショット。皆様にお見せできなかったのが残念です。さすが役者・松本奈緒子、一球入魂の演目。
しかし基本的に踊れないCAPSULE。振り付け作業は難航しました。汗だくでした。
いろんな意味で大爆笑しながら稽古が進められた一作。舞台で演じるのも楽しかったです。いつかの機会に再演してみたいものですな。





   

■grey zone
生まれ変わる為の場所。死んでしまった人間が新しい身体に入る為の順番待ちをしている。生まれてくる新しい身体に条件が合えば、新たな人生をスタートさせる事ができる。
そこへやってきたある人間。他の人達が様々な思いを胸に生まれ変わっていく中、一人浮かない顔をしている。そしてこの場所の管理人にその理由を語り始めるのだったが・・・。

白と黒をテーマにしたCAPSULEの第2回本公演。ラストを飾るのはあえて“白でもなく黒でもない”グレーの話。
[grey zone=曖昧でどっちつかずな場所] 白を「生」として黒を「死」と考えると、そのどちらでもない場所が存在して、そこに居る人達にもそれぞれの思いがあったら・・・という発想から生まれた一作。
コントと芝居の間のようなまさに“どっちつかず”な舞台をやっている我々としては、やや芝居側に寄った作品があってもいいんじゃないかと思い、演目に加える事にした。
この作品のモチーフとなっている「退屈な日常」や「自分の本当にしたい事が見つけらない」という思いは誰にでも多少なりともあると思う。しかしここまでこの作品解説を読んで下さった方々はおわかりかと思うが、CAPSULEのコントは作者の日常生活の些細な出来事を元に作られているものがほとんど。
一見退屈に思える“繰り返しの日常生活”の中に目を向けてみると、意外と面白い事は転がっているような気がする。それはもうコントが何本も書けるほどに・・・。

   

□ 第2回公演を終えて
前回公演終了後、CAPSULEは今後の活動について話し合いの場を持ちました。「第1回公演」と銘打ったものの、それ以降の予定は全くと言っていい程決まっていなかったのです。
そして【Placebo】から紆余曲折する事約8ケ月、やっとの思いで第2回公演【construction】を行う事ができました。
 この8ケ月の間に役者の鈴木祥子と制作の河田春菜という新しい力を得る事で“CAPSULEができること”の範囲が拡がった気がします。

今回で2回目になる本公演。「はじめまして」という意味もあった第1回本公演に比べて今回はより公演の内容自体が問われる舞台になるだろうと考え、脚本は練りに練ったつもりです。
前回より台本の上がりに遅れが出た為、役者達はさぞ迷惑な事だったと思います。そんな中、時には文句を言いながらも最後まで頑張ってくれました。スタッフは自分の仕事を的確にこなして公演を支えてくれました。本当に頼りになる人達です。
そしてお手伝いして戴いた外部の方々の素晴らしい仕事ぶりによって、人数の少ないこの団体もなんとか公演を行う事ができました。本当にありがたい事です。この場を借りて感謝致します。

【construction=構成・組み立て】という意味のconte unit CAPSULE 第2回公演。
我々CAPSULEの“組み立て”の過程に立ち会って戴いた沢山の皆様、終演後「面白かった」と声を掛けて下さった方々、そしてメガネ軍隊で復唱して下さった方々、本当にどうもありがとうございました。
何はともあれ、お客様あっての公演だと思っています。本当に感謝しております。
私達はまだまだ稚拙な団体ではございますが、1人でも多くの方に楽しんで戴けるよう、これからも全力を尽す所存です。
そしてこの先もCAPSULEの舞台を見守って下さるととても嬉しいです。メンバー一同、頑張ります。宜しくお願いします。



[作・演出 武田美穂]
 

  

actor

武田美穂
松本奈緒子
大村朋子
寺元彩乃
川原南風
鈴木祥子


staff

舞台監督/照明 大江芳樹
演出補佐 小川尚子
音響 岩渕民里子
制作 河田春菜